ドイツ木工研修留学

 

2006.10.25

第30回

番外編「SAKURAIさん最新レポート」

 

帰国後一年分のご報告です。

 

昨年(2005年)七月に帰国し、その三週間後、地元の小さな家具工場で働き始めました。

経緯は、求人も出ていないのにだめもとで連絡を取り、あっさり断られましたが、

親切な社長が「仕事の後や休日に工場で好きなものを作っている職人たちがいるから、

一度遊びに来て、いろいろ話を聞いたり教えてもらうといい」と言ってくれたので、

のこのこと出かけ、そしてそのまま居ついてしまいました。

社長からの「うちの会社で勉強して早く独立しなさい」という条件付で。

 

この会社は主に水屋家具を作っていて、アンティーク風の塗装に力を入れています。

私は主に小物を作っています。木取りから、

加工、組み立てまで、場合によっては塗装もやらせて貰っているので、勉強になります。

また、会社が県の家具組合に加盟しているおかげで、県下の家具産業に従事する若手対象の指物講習や

拭きうるし講習にも参加でき、とても恵まれた環境です。

が、工場は冷暖房完…欠…、夏は38度、冬は2度。

休みは少なく、仕事は体力的にもきつく、おまけに過去経験したことがないほどの薄給。

ほぼ毎日のように「辞めたいなぁ」と思いつつ、作品ができあがる度にうれしくて、

もうちょっとがんばってみるか、と気を取り直しどうにか1年3ヶ月。

 

写真は仕事以外で作った私の作品です。

久しぶりに会った来日中の師匠から、これらの作品に関して「がんばりましたね」という言葉をもらったので、

またやる気がでてきました。

 

写真の説明です。

ドイツにいたとき、作っていて一番楽しかったのがシャルロッテちゃんの椅子です。

好きな作品No1です。それを祖母用にアレンジしてつくりました。

座板を彫ったり会社で教えてもらった塗装をしたり。

材料はナラです。隣のゴミ箱はふたが回転します。

工場の職人さんからもらったメープル(たぶん)とローズウッドでつくりました。

これは我ながら会心の作で、会社で少し改良し商品化されました、が、見えないところに手間がかかり、

値段がかなり高くなり、結局一個しか売れてません。

 

 

友人に裁縫箱を作ってほしいと頼まれ本を見て作りました。

本にはアクセサリーボックスとして紹介されていましたが、

師匠によるとパンをいれるケースとしても良く知られたデザインだそうです。

引き出しの開閉により上のふた(扉?)も開閉します。ナラ材。

 

貴重なバーズアイメープルの端材をもらいました。

細かったので接ぎ合わせて60ミリ四方くらいの香合をつくりました。

茶道具の一つでお香をいれるものですが、超自己流なのでちょっと不具合が…。

ピアスケースにもいいな、と思ってます。

拭き漆で、片側の穴には金粉を塗りました。(金色のスプレーじゃないですよ。)

もう一方はオイル仕上げ。

瓢箪六個で縁起よく、「六瓢=無病」。

桐の箱を作ったらなんとなく様になり、お茶の先生や稽古仲間に贈りました。

 

すみません、長くなりました。別の作品はまた近々お送りします。

この時期、工場の温度は快適なので、せっせと創作活動に励みます。

 

(管理人より)

SAKURAIさんは2006年10月に来日中の師匠クレメンス・ゲルステンベルガーさんが

アートファニチャーギャラリーの工房でドイツ式の木工を指導した講座に遊びに来てくれました。

久しぶりにお会いすることができました。

あいかわらず奮闘しているようで、着々と家具職人、木工家への道を歩まれているようでうれしく思いました。

 

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こちらへ。

(HP管理人から転送します。)

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